大阪府堺市堺区にある石津太神社(いわつたじんじゃ)で毎年12月14日に行われる、泉州の奇祭『やっさいほっさい』。
祖母が石津に住んでいたので、小さい頃から名前だけ知っていたお祭り。「名前に『やさい(野菜)』と付くんやから、収穫祭みたいなお祭りやろう」と思っていました(笑)。よく考えたら、こんな寒い時期に収穫祭なんておかしいのですが、思い込みとは恐ろしいものです。
堺ではふとん太鼓やだんじり祭りが終わると、『祭が終わった』という感じがします。まさかこの寒い時期に、こんな熱いお祭りがあるなんて!!!
やっさいほっさいの起源
石津太神社は紀元前469年(孝昭天皇7年)に創建されたと言われています。
かつては広大な敷地を誇る神社でしたが、社殿も何度となく焼失しています。現在は江戸時代前期に造営された本殿が二つと拝殿があります。
小さな神社ですが歴史は古く、歩いて15分程の距離にある石津神社(いしづじんじゃ)と共に日本最古の戎社と言われています。
『石津の浜に漂着した蛭子命(ひるこのみこと)を村人が助けあげ、火を焚(た)いて体を暖めた』という伝説が残っている事から、この火祭りは行われる様になりました。
やっさいほっさいの今
奉納者の一年の災厄を祓い、新年の幸を祈願する『やっさいほっさい』は、無形民俗文化財に指定されているお祭りです。地元の小さなお祭りという感じですが、御神木を焚き上げる火祭りとして『泉州の奇祭』と呼ばれています。
近年ではお祭り好きの方よりも、被写体として写真愛好家の方に注目されている様です。
やっさいほっさいに行ってみました!!!
午後6時半過ぎに石津太神社の鳥居をくぐり境内地に入ると、すでに高そうなカメラを持った方々が広場に陣取っていらっしゃいました。
広場には奉納された御神木で『とんど』が組まれており、やっさいほっさいと書かれた提灯が見えてきます。
一つ一つの御神木に奉納者の名前が書かれた『祈願文』が巻かれています。
火付け神事は8時からの予定。12月の寒空の中、皆さんただただその時を待たれます。
広場を通り抜け、本殿の方へ近づくと何やら音楽が…。今年は堺市出身のミュージシャンが奉納ライブをされていました。
私も『とんど』の近くに陣取ろうと戻ってみると、先ほどよりもカメラマンがグッと増えています。
ミニライブが終わると、次は浜寺地域のよさこいチームの奉納踊りがありました。この頃には『とんど』を何重にも人が取り囲み、身動きが取りづらい状況でした。一度その場を離れると、最前列には二度と戻れなさそうです(^^;)
それぞれの奉納パフォーマンスが終了し、いよいよ火付け神事です。
午後8時、神事の始まりを告げる『時太鼓』が3度鳴り、3度目が叩かれた瞬間に提灯やライトの明かりが消されて辺りは真っ暗に。
しばらくすると、神社の方から祭文の声と共に炎が見えてきました。『とんど』に向って、その光が近づいてきます。
火付け役を任された方がとんどに火を付けた瞬間、
周りにいる青年団の方々が手にした藁で叩きます。
その炎は一瞬で燃え広がり、夜空へ向かって大きく火の粉を散らし始めます。
数度の小規模な爆発を繰り返しどんどん辺りに熱気が立ち込め、前のめりに『とんど』に近づきシャッターを夢中で押していたギャラリーも、その熱波で止まっていられずに後退りしていきます。
30分程経過すると『とんど』も崩れ、火の勢いも弱まってきます。それでもまだまだ皮膚を焦がすような熱波が漂い、炎を見つめる目が焼けそうになり、カメラも熱くなって熔けそうです。
次に火伏せ神事が始まります。太く長い竹で燃えている御神木の山を両側から崩し、火を弱めていきます。
炎が小さくなると、両脇を氏子さんに抱えられた神職の方がおみえになりました。(写真がブレていてスミマセン)
火床の前で祈りを捧げ、その後、火渡りが始まります。
その後、本殿の方から『戎(えびす)様』が担ぎ上げられてやってきます。
まずは本殿に向かって渡り、踵を返してもう一度炎の残る中を渡ります。そして最後に本殿の方へ向かってまた火を渡って行きます。
『戎(えびす)様』が3回目の火渡りを終えたら、続いて周囲に居た青年団の方々が次から次へと火渡りをしていきます。 火傷の心配をしてしまうくらいに炎を上げて渡って行く姿は、見ている人々の心を熱くします。
青年団の方が火渡りを終えると、一般見物者も火渡りをさせていただけます。
『とんど』に火が点いた時から、「携帯電話が熔ける程の温度となります。火傷に注意して下さい」と繰り返しアナウンスされていたその囲みの中に、ついに足を踏み入れる時が来ました。
写真では伝わらないと思いますが、この状態でもかなりの熱気です。私が渡った頃にはもう少し火も弱まっていましたが、それでも靴の裏から何とも言えない何かが熔ける臭いを感じました。
火に弱い靴や衣類は厳禁です!!!
一般の人が火渡りをしている間に足元に放水し、鎮火させて素手で炭を拾える様にして下さいます。この炭を持ち帰ると厄除けになると言われているので、老若男女問わず炭拾いをしていました。
遥か昔から続く伝統とロマンあるお祭りを、今回初めて見させていただきました。貴重な経験と共に、ついついお祭り衣裳に目が行ってしまう自分に苦笑しました。
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石津の皆様、是非ご注文をお待ちしております(笑)!
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